きみちゃんの勝手に書かせてちょーだいっ
朝、駅に向かう途中、ときどき小・中学校の時の同級生を見かけます。彼女の事は、顔も名前も知っているけれど、特に友達だったわけではないので、声を掛けるわけでもなく、ただ見かけるだけなのですが。
きっと彼女も同じように思っていることでしょう。私と比べると、ずいぶんお姉さんな雰囲気だなぁ。いや、きっとアレが普通なんだよなぁ。などと思いつつ、駅に向かって彼女の後ろを走っていきます。
それにしても、気がついてみれば彼女、見かけるときはいつでも走っています。でもきっと彼女も私のことをそう思っていることでしょう。
毎朝同じ電車の同じ車両に乗っていると、必ず会う人というのがいるものです。私も通勤の地下鉄で同じ顔を見ます。これはその中の一人のお話。私の隣に立ったおじさまが、本を開くとなにやら蛍光ペンで印をつけながら熱読し始めました。
熱心に何のお勉強かしら、とさりげなく見てみると、そこには手を取り合って踊る人の絵が。そう、おじさまが読んでいたのは社交ダンスの教本でした。
図解付きでステップが解説されているようで、おじさまは時々頷きながら今にも手足が動き出しそうです。この方と何度か隣になっているうちに、この本は雑誌で、グラビアページもある事が分かりました。
ダンスの衣装屋さんやスタジオの広告も、たくさん載っています。きっと、会社の帰りにはダンスの教室に通って、楽しいひとときを過ごしているのだなぁ、と、なんだか微笑ましく思いながら、私より先に降りるそのおじさまを見送るのです。
帰りの地下鉄で、見かけた光景です。途中の駅から、おばあさんが1人、そしてすぐ後からもう1人乗って来ました。おばあさんの二人連れです。でも、お友達同士でのお出かけではありません。
おばあさんが、おばあさんに付き添っているのです。若いおばあさんに付き添ってもらって、お年を召したおばあさんが出かけているのです。
親子でしょうか、それとも姉妹でしょうか。2人には歳の差があるようでしたが、それでもやはり2人ともおばあさんなのでした。なんだか、考えさせられる帰り道でした。
もうすぐ大学ともお別れ…ということで、前月号の阿部さんに続き大学ネタでいってみましょう。私が所属しているのは文明学科アジア専攻東アジア課程というちょっと他にはないところで、中国・朝鮮半島(私は後者)の歴史や社会・文化等について勉強するところです。
まぁ、東アジアのことなら何をやってもOKというアバウトな、いや、すばらしい学科です。こんな内容なので、とうてい就職にあたってもメリットが期待できるわけでもなく、大学内でも就職率は低いとか。
そう、この学科はそれでもなお、あえてこの学科を選んだ人々が集まる、結構個性の強い集団なのです。趣味の世界に走るかわりものの集まり、といっても過言ではありません。もちろん、私もその一員なワケですが…。
この東アジア課程に所属するともれなく現れる症状として、次のようなことが挙げられます。
1. 旧漢字を違和感なく読める。
2. 中国・朝鮮半島の固有名詞は現地語読みになる。
3. 日常の会話やメモに、中国語又は韓国語が混ざる。
特に3の症状は著しいです。たとえば「カジャ(行こう)」「ペゴッパ(お腹へった)」「ファジャンシレ(トイレに)行ってくる」などがそうです。メモは、漢字を書くよりハングルの方がはやいので結構便利だったりするんですよ。たとえば「16時横浜駅JR-京急連絡口」は「16ト|横浜ロキてJR-京急ロキて己トてユ|」となります。
ね、楽でしょ?でも、かといってそれほど語学にたんとうなのかというと、決してそうではないのが困ったところです。就職先でも韓国語に触れることになったし、勉強を続けなくちゃ。
就職まで韓国が縁で決まるなんて、今思えばこの学科、課程を選んだことが本当に私にとって人生の分岐点になったんだなぁ、と思っています。
私は電車に乗るのが好きだ。満員電車はごめんだけど、通学に使うのは幸いすいている下り電車。通勤時間と重ならなければ必ず座れるし、チカンに遭うこともない。
南校まで家から徒歩とバスでそして片道2時間と30分弱だった私にとって、大学への通学は始めての電車通学、いう通学時間に、ちょっとした旅気分といった感じで始まった年半…)。(そして、はや2
初めのうちは「本でも読んでみるか。」と文学少女(?)をきどって、この時間を読書timeに。でも、バスだとよく眠れるのに電車だと揺れが合わないのか他人と正面向いて向かい合っているからか、どうもあんまり眠れない。
だけど、その時間が結構楽しかったりするのだ。車窓を眺めたり、雑誌の中ずり眺めたり。そして、何よりオモシロイのは目の前にいる人、人、人…。
横揺れにも負けず丹念にマスカラつけてる女子高生。大きく口あけて寝てる人。温泉に行きたいって話で盛り上がってるお疲れな小学生。赤ペンで丸つけしてる塾講師。
窓から見える巨大な大船観音像を指差し、子供に「ほら、大仏さまよ」と説明する母。ふと見ればおじさまの腰に’てくてくエンジェル’がついていたり、制服のズボンで子花プリントのシャツ着た男の子がいたり。
なんて言ってる私も、韓国語の辞書をパラパラしながら宿題やってたらいして、視線を浴びてたりするのであった。